ワクワクを終えて

 

 

薄い朝靄が広がる、誰もいない閑散とした街並み。ひんやりとした気持ちの良い秋の風が吹き抜けていく。左手で、顎の無精髭をさすり、「さすがにちょっと疲れたな」と独り言を呟いた。耳の奥で、まだかすかに響き続けているホールの音が、今にもアスファルトに転げ落ちそうなボロボロの身体を、すんでのところで支えていた。

 

 

第一回ワクワクコンサートが終演した。まずは、御来場頂いた皆さん、参加してくれた団員たちに、心から感謝を伝えたい。本当にありがとうございました。胃もたれと、吐き気でめちゃくちゃ気持ち悪いのだが、今回の演奏会をゆっくり振り返ってみようと思う。

 

 

台風が直撃し、演奏会を中止することも想定していたのだが、日頃の行いが良かったのか、奇跡的に天候が回復する。検見川浜の駅前は、かなりオシャレでモダンな作りになっており、 RPGだったら絶対に何かイベントが起きそうな橋を渡って会場に向かう。この前に蘇我駅の近くの公民館で進行の読み合わせと、確認練習を行なった。団員たちは、若干疲れ気味ではあったが、調子は良さそうであった。休憩時間に近くのスーパにハッセーとバナナを買いに行く。バナナを食べると演奏の音が大きくなる気がしていて、いつも演奏会前にバナナを食べるようにしている。

 

 

 

当日の演奏を振り返ると、Asianはほぼミスらしいミスがなく、練習が確実に結果につながった堅実な演奏だったと思う。終盤、テーマのアーフタクトがバッチリ決まった時は感動してしまった。遠い日は、関戸と、しゅうたがバッチリ決めるところを決めてくれたおかげで、練習以上の出来栄えになったと思う。特にルバート部分の関戸は、薬でもキメてんのかというくらいの、神がかった演奏だった。さらにバッキングの奏者と、指揮者の息もバッチリと決まって、しつこいくらいになんどもなんども練習した甲斐があった。

 

 

 

ただ、何と言っても一番びっくりしたのは、ホールの音響である。開演直前の確認練で、すぐに気づいたのだが、響きがありえないくらいに良かった。ドラセロが響くホールというのはいくつか経験があったが、ドリンとギターがあそこまで飛ぶホールは初めてだった。舌バカ耳バカ、方向音痴の小松くんですら、「なんだこのホール!」と言っていたことからも、相当な音響の良さだったことがうかがえる。

 

現役の人たちに失礼なので、どことは言わないが、「杜の青葉、第二楽章、駅から遠い場所」と比べると天と地の差であり、改めて、ホール選びの重要性を認識した。舞台裏のスタッフや、受付の方も、腰が低い常識のある大人の方ばかりで、大変気持ちよく、演奏に臨むことができた。僕は、かなり現役の頃から当該ホールに対して不信感を持っており(理不尽に怒鳴られたことが要因となっている)、今回ワクワクのホール選びに関しては、演奏人数に対する面積比、ホール構造、録音環境などを徹底的にリサーチし、最終的には、ホールに直接一人で行って決めた。今思えば、個人プレイが甚だしいが、怒りと憎しみゆえの行動なので、どうか大目に見ていただきたい。

 

 

さて、話を戻そう。第二部は、アンサンブルステージとなっており、狙ったわけではないが少し大人びた雰囲気がどの曲にもあった。初っ端の夜光は、珍しいセロギターの2重奏曲であり、前日の通し練では、一番仕上がっているチームだった。両楽器を合わせるとちょうど100万くらいになっていそうなので、僕は陰で勝手に「重課金チーム」と呼んでいたのだが、まぁ二人とも、お世辞抜きで本当に上手かった。しゅうたは言わずもがなとして、エガミさんは、「プレーチェなんて私には無理だ」と謙遜するが、相当高い技術を持っているのではないかと思っており、特にこの曲ではピッキングからのトレモロが、惚れ惚れするほど上手であった。この調子で、夭逝の天才チェロマスター Yasunari batabataを超えていって欲しいですね。

 

二曲めの花の葬列は、かなり難易度が高いフィジカルを前面に押し出した、まさにゴリラ曲であった。それを弾くのがポッキー二人なので、かなり心配していたのだが、他のどのチームよりも熱心に取り組んでいた印象がある。特におにぎりくんは、カルト宗教じみた異常な執着ぶりをこの曲に見せており、あの二人が、公民館で練習を始めると、いつもその場が一気に黒魔術の儀式会場と化していた。マジでウルセェよ!と毎回思っていたのだが、レクイエムの哀しいメロディが個人的にかなり好きで、密かに楽しんでもいた。マンドリンを全く知らない僕の弟も、一番好きな曲に、この曲を挙げていた。こしまは、この曲で本当にやりきったのか、飲み会では、ほろ酔いを半分飲んで、深い眠りについていた。心から満足していそうなとても安らかな寝顔であった。きっと夢の中でも関戸と二人で演奏しているのだろう。

 

 

三曲目のScreenは、一夜漬けの付け焼き刃の割には、それなりの演奏になって安心した。いやー上手くなったなぁとは前々から思ってはいましたが、一緒に演奏すると、しゅうたの異次元ぶりが良くわかりますね。彼が弾いている楽器は本当にギターなのか? もう本当に勘弁してほしい。もはやギターの技術では到底追いつけそうにないので、「彼が弾けないギターの曲」を作って、張り合っていこうと思います。

 

 

4曲目の拙作yove letterは、間違えなく本番で化けた曲だった。ペイさんは、僕が細かいことを何も言ってないのに、抑揚が自然と「失恋経験者のそれ」になっており、まるで、「男だって時には女々しくなるよな」と、言ってくれているようだった。テーマのメロディはありきたりだが、和声進行が、少しトリッキーな曲になっており、モーダルインターチェンジを軸とした戻り転調が曲中に三回も登場する。敗残者の、浮き沈みがある不安定な心情を表現するために意図的に捻った箇所であり、頭の中で描いていた音楽が割と忠実に再現できたと感じている。まぁそんなマニアックなことは、誰も気づかないだろうと思っていたのだが、たけちゃんさんは、この点に関してかなり詳細に感心して、褒めてくれた。初見で調性感の分析をあそこまでできるのは、本当にオタク。マジでメガネ。分析もほどほどに、はよ入団してくれ。エガミさんとトミーさん、しこたま酒を飲ませて、早急に彼を囲い込んでください。あと、ハンザワボーイも。

 

 

三部の星降りは、細かいミスはあるものの、ホールに助けられたのもあるが、想像以上に綺麗に響いたなという印象がある。あと、最も合わせるのに苦労した第二楽章後半から〜再現部分が、バチくそに決まって、大げさだが、ワクマンが一つになったのを感じた。団員の皆さん、丸本末広etcのメイン曲がやりたかっただろうに、こんなワケわからん曲をここまで練習してくれて本当にありがとうございました。これで、来年は、心残りなく旅立つことができそうです。アンコールの、重課金フルパワーカントリーロードはもう出来が異次元でしたね。

 

 

卒演とかも忙しいだろうに、参加してくれた現役のいっちーパッちょとか、楽器をレンタルしてまで演奏してくれた千葉めぐとか、リサイクルショップでドラを買った小松とか、社会人一年目で土日休みじゃないのに参加してくれた斎藤さんも、滋賀から参加してくれたO川も(飲み会で彼の足がかなり臭かった)、圧倒的な実力で陰ながら団体を支えてくれた43期のお二人も、台風の中、見に来てくれたみなさんにも、まだまだ言い足りないことはあるが、本当にありがとうございました。あ、あとハッセーも!(星降りのソリめっちゃよかったよ)。

 

 

 

台風予報は嘘のように、穏やかな空が、帰り道を見守っていた。演奏も進行も、想像以上に上手くいきすぎたので、夢オチ、交通事故オチだけは勘弁してほしいなと思いつつ、おにぎりの家で、12時から、4人で酒を飲む。こしま、大川が途中で脱落し、おぼろげな目で関戸と二人で朝までチビチビと日本酒を飲み続けた。思えば、ワクマンを作るきっかけになった場所もこの部屋だった。6年間、幾度となくここで酒を飲み、数え切れないほどの無駄話を重ねた。この部屋には、いたるところに、言葉が積み重なっている。来年、ワクマンをどうするか、少し話し合い、日が昇って来たところで、部屋を後にする。

 

 

 

演奏会というのは、いつもそうで、終わってから、楽しかったことに気がつく。そして、ゆっくりと思い出の隙間が埋まっていく。ちょっと寂しくもなるが、いつだってそれが、次の演奏会への原動力になる。

 

 

 

 

また来年もやれたらいいなぁ〜。そんなことを思いながら、クタクタになったワクワクTシャツを洗濯カゴに入れた。

 

 

 

おわり。

 



 

 

演奏会アンケートのURLがパンフにあるので、御来場頂いた方は、回答いただけますと幸いです

 

 

いつまでも音楽は鳴り続ける

 

今日は台風の影響で、練習参加者が少なく、なんとも運の悪い日であった。1時間待っても、斎藤さんしか来ず、二人でアンサンブルの練習をするという、斎藤さんにとっては地獄のような時間を過ごさせてしまった。なんか申し訳ないなと思いながら、案外、斎藤さんと合わせるのは初めてであり、楽しかった。やっぱり彼女はなまらうまいですね。北海道を舐めんなよ!(何がやねん、なんも言ってへんやろがい)

 

 

おにぎり🍙は、案の定、1時間遅れてやってきて、バカみたいに入念なウォーミングアップを終えた後、ブツブツと文句を言いながら、腰回りくん(なんかエロい)と、アンサンブルの練習を始めた。知る人ぞ知る、この似た者コンビのアンサンブルは文句を言っている割には中々仕上がっており、正直驚いた。本番、緊張で失敗してまえ!ズンドコベロンチョ!と洋楽家に先祖代々伝わる必殺の呪いをかけながら、二人の後ろ姿を見ていると、なんだか、いつぞやのスプリングの練習をしている時みたいな、そんな懐かしい風景が頭の中で重なっていた。いい歳こいて、無邪気に笑い合いながら、楽器を弾く二人の姿を見ていると、気のせいか、生暖かい春の空気を感じた。

 

 

途中で合流した、現役組とともに、簡単に合奏練を行う。時計ばかり気にしている自分に気づいて、あぁ俺今もしかしてちょっと焦ってるのか?と思った。いや、鬼のポーカーフェイスの異名を持つ俺としたことが、そんなバカな。そう言い聞かせたが、部屋の扇風機を消し忘れて家を飛び出してきたこと、さらに傘も忘れたことに気づき、普通に、やっぱり少し焦っているのだと思った。パンツの相性が良くなく、ムズムズしていたのだが、指揮者が、ポジを直すわけにもいかず、スラーを意識して欲しいなどとホザきながら、落ち着けと自分に言い聞かせた。

 

 

帰りは雨が上がっており、おにぎりと二人でガザルに行く。現役の時は、普通におかわりをしていたはずなのに、二人とも、半分で限界に達して、老いの残酷さを実感した。きてくれるお客さんの話になり、たくさん見にきてくれ!でもやっぱりそんな来ないでくれ!などと矛盾するセリフを吐きながら、もはや雑巾にしか見えないナンをチマチマとちぎり口に放り込んで行く。お客さんの中で一番びっくりしたのが、脱北ねぇさん(この名前を言って、伝わる人はほとんどいないだろう)だった。脱北ねぇさんといえば、僕にギターの基礎を丁寧に教えてくれた、まさに女神というべき存在で、大変お世話になった大先輩である。後輩への接し方が、上手で、僕はそれを見本にして、腰回りくんを育てた(偉そうにいうな!)。もうナン年も会っておらず、正直、どこで何をしているのかも分からない。ただ、こんなバカみたいな名前のコンサートに来てくれるぐらいだから、きっと元気なのだろう。

 

 

 

脱北ねぇさんに限らず、もうしばらく会っていない人が、演奏を見にきてくれるのは非常に嬉しいものである。たとえ、サークルを辞めても、楽器から手を引いても、その人の心の奥のどこかで、音楽は鳴り続けているのだと思う。そういった、いわゆる中間ゾーンの人にこそ、聞いて欲しい演奏会である。そして、「あなたの音楽はまだ鳴り止んでませんよ」、と伝えたい。そんな、願望や、理想を頭の中で描きながら、おにぎりと、社会人になった奴らの服装が明らかに学生の時より良いものになっていることを、例えば、修太がサークルの時によく着ていた緑のモコモコジャンパーなどを思い出し、大笑いして、口からナンが飛び出す。汚ねぇ!すいません!

 

 

 

次に、奏者たちは、それぞれ、何を思って参加してくれているのだろうかという話になった。正直、僕は人間心理の天才なので、各々のモチベーションの違いは、手に取るように、分かってしまっているのだが、じゃあなんで、参加してくれたのかと聞かれると、途端に、返答に困ってしまう。飲み会?練習?人?なんとなく? 色々あると思うのだが、その理由はなんでも良いと思っている。それに無理にやる気を出さず、ちょうど良い距離感で自由にやってくれて良いと思っている。なぜなら、なんとなく、そっちの方が、長く続きそうな気がするからである。まぁ僕は、アホなので、短命上等で最初から、スーパーサイヤ人4でいかせてもらいますが(ネタが古いねん。呪術回線とか、アーニャで例えろよ)。「俺は今回、良い感じに、めっちゃ淡々と練習できているんだよね、なんか不思議なほどトゥーとこれている」とおにぎりが呟いた。トゥーってなんやねんベッキーかよ。

 

 

 

 

ヌリケシみたいになった、ナンをどうにか平らげ、吐きそうになりながら、店の外に出る。二度と来るか!と思いながら、もう本当にしばらく来ないことになるだろうと、言い残し、自転車にまたがる。吐きそうになっているおにぎりに、手を振り、ペダルに力をこめる。

 

「いつまでも音楽は鳴り続けている、心のどこかで、、、」か。まぁ確かに、本当にそうなのかもしれないな。。。と思いながら、ゆらりゆらりとアパートに帰る。

 

 

 

 

おわり。

曲紹介

 

秋が来たのか、まだ夏なのか、ちょうどグラデーションの中間にあるような、微妙な色彩を帯びた季節。自分だけかもしれないが、秋になると聴きたくなる曲というのは結構多い。

 

今日は、曲紹介をしようと思う。併せて聞きどころなどを。アンサンブルの曲に関しては他チームの曲をまだ一回もちゃんと聞いてないので、曲名と作曲者だけさらっと紹介で、合奏曲を中心に書こうと思う。

 

 

とりあえず、演奏順に曲を。

 

 

第一部合奏ステージ、

Asian dream song/久石譲

遠い日/丸本大悟

 

第二部アンサンブルステージ

夜光/青山涼 (二重奏 46セロ&45ギター)

花の葬列/吉田剛士 (二重奏 45ドリン&46ギター)

Screen/丸本大悟 (ギター4重奏 45&僕&46&44)

yove letter/僕 (4重奏 43ドリン&46ドラ&46セロ&僕)

 

第3部合奏ステージ

星降りの魔法/僕

 

 

 

「Asian」は過去の定演でCUMCが演奏した譜面をOBの方から頂いた。♭系の重厚な雰囲気があり、今回の曲の中で最もパワー勝負の楽曲である。主題提示を行い、途中アップテンポのフーガなどを挟みつつ、もう一度主題に戻ってくる。個人的には3オクターブによるユニゾンで主題を再現した後のアウトロからが聞きどころ。単純なリズムなのだが、低音の動き、コード進行がとてもかっこいい。ドリンソロの技巧的で煌びやかなフレーズなども見どころの一つであるのだが、生憎、当団体のトップは緊張にバカ弱い、あの某おにぎり君🍙なので、あまりプレッシャーを掛けないで頂きたい。しっかし、あいつ本当に上手くなったなと思う。もうかれこれ6年以上の付き合いとなり、何度もトップと指揮者という関係で音楽をやってきたわけだが、武蔵家で弱音を吐き、ガチガチになって欅を弾いていた頃に比べると明らかに安定感が増した。遅刻魔で、ポケモンといえばのお題で一人だけ「緑」って答えるほどのおっさんで、IQが低くい、如何しようも無い人間なのだが、彼がトップだと僕的にはとてもやりやすい。そんなわけで、進化したチンカス君、ではなく、おにぎり君にも注目の一曲となっております。

 

 

 

 

二曲目の「遠い日」は、もの悲しくセンチメンタルな曲なのだが、不思議とどこか清涼感も感じる非常に好きな曲である。だい、、ではなく、丸本さんの作曲としての凄さは、いろいろあると思うのだが、その中でも曲の運び方が抜群に上手いと思っている。同じモチーフを繰り返すだけでも、微妙に和音や音高を変えることで全く飽きさせず、ゆっくりと心の深部へと歩み寄ってくる。そうして、丁寧に場を温めたあとで、しっかりと曲のピークを持ってくる。この曲は本当に聞きどころしかないのだが、強いてあげるとすると、ドラセロが絡み合いながら主題を演奏する部分が一番好き。今日は、初めてドラセロが全員集合したのだが、合奏が本当に楽しかった。あのドリンとは違う、丸くて大きいバームクーヘンのような音が織りなす優しいハーモニーが、きっとあなたを「遠い日」に誘うことでしょう。

 

 

 

星降りの魔法は、僕が昨年の冬から春頃にかけて作曲した曲で、先ほどの2曲と比べると、非常に明るい雰囲気の曲である。駆け出しの魔法少女が、冒険をしつつ、星が降る魔法を追い求めるという、まるでB級ラノベ小説のような設定で、曲を書いた。ゆったりとしたテンポで進む第一部主題、ワルツをベースにした第二部主題、そしてもう一度第一部主題を再現し、帰結する。10分ほどの長い曲だが、大きなくくりでいうとABAの分かりやすい構造になっている。ファンタジー要素を表現するために、これでもかというくらいにテンションを含む和音を用いており、星コンほどではないが転調も多く、所々難解なリズムも登場する。今まで僕が作った曲の中では一番難易度が高い。特にギターパートには、一切の容赦をしなかったため、あの今村君が喘ぐほどである(とか言いながらさらっと8連符を弾いているところを見るとやはり彼は化け物である、最近また、お高いギターを買ったらしくギター愛が止まることを知らない。あの調子でいくと、後3年は結婚できないだろう。お前がいうな)。

 

ボイシング(和音の積み重ね方)に最も時間をかけた曲なので、ハーモニーの部分を楽しんで聞いて頂ければと思う。ゲーム音楽、特にドラクエを参考にしたので、そういうのが好きな方は楽しいと思う。作曲を始めておよそ4年が経ち、この「星降りの魔法」は7曲目に当たる。まさか、自分がここまで作曲にハマり込むと思っていなかったし、ここまで続けられるとも思っていなかった。本意ではないにしろ、無名素人の曲を弾いてくれたCUMC各位には感謝しかない。最近は作曲にハマりすぎて、暇さえあればミューズスコアを開いているし、ついには作曲目的でマンドリンまで購入してしまった(お前秀太のこと言えないやん!)。特に野望はないのだが、飽きるまで続けようと思っている。演奏会のトリを務めるのにふさわしい曲なのか自信はあまりないが、よかったら聴きに来てください。

 

 

 

 

 

てな訳で、だいぶ長くなってしまったが、これで曲紹介を終える。既に何名かの方が事前登録をして下さっているが(本当にありがとうございます)、まだまだお座席は余りまくっていますので、お時間のある方は是非お越しください!!9/24お待ちしております!!

 

 

 

 

 

おわり。

 

 

 

 

 

 

余談

今度の定演で星コンを弾くらしく、夏合宿の通し連を見てきた。手土産として、何を持っていくか関戸君と1,2時間、散々悩んだ挙句、メロンを1玉丸ごと買って持っていった。お前たちは馬鹿なのか。現役の人たちは、ありえないくらいに元気があり、何より、本当に楽しそうな雰囲気だった。若いっていいなー。と思いながら、くたびれた岩井の街に別れを告げた。

 

 

 

宣伝!?

 

本番まで一ヶ月を切った。と言っても、現役の頃のような焦燥感や切迫感がなく、なんとも不思議な感じである。涼しい風がゆるりと、頬を切っていく。夏はもう終わったんですか?と誰に聞くまでもなく、そこに吹く風が全てを物語っていた。

 

 

今日の練習は参加者が少なかったので、合奏は簡単に済ませ、ほとんど個人練に時間を使い、帰りにビビンバを食って帰った。今お腹パンパン。窓際の座席に座り、楽器を椅子の横に立てかけ、関戸と小松くんがメニュー表を見ながら、何にしようかな〜と喋っている、そんな光景は、まるで埃を被った小説のページをめくるように、古い記憶を少しくすぐった。関戸くんが、イカのような形に折った箸袋をクスクスと笑いながら見せて来て、「チ○コ」と呟く。こいつは昔から、箸袋で折り紙をする癖がある。俺より二つ年上のくせに、下ネタでよく笑う。いい加減、年相応の分別をわきまえた言動を心がけて欲しい(お前もな)。

 

 

すでに知っている方も多いと思うが、来月に演奏会を行う。よかったら見に来て欲しい。今の所、現役の女の子一人と、直樹(俺の親父)だけが事前登録してくれている。このままだと直樹と女の子の二人だけという、意味わからん空間ができてしまうので、みんな来て欲しい。

 

 

たぶん最後になるからと、初めて演奏会に家族を誘ってみたのだが、全員来ると言い出して、誘ったことを少し後悔した。親戚のおじさんも来てくれるらしい(葬式じゃないんだよ)。思春期の授業参観じみた恥ずかしさが湧いて来ないでもないが、どうやら俺も歳をとってしまったようで、ありがたさが少し勝っている。

 

 

正直、言葉の一つや二つで、お客さんの数が増えるとは到底思えないのだが、いくつかアピールポイントをあげるとすると、

 

懐かしの友人と会える、かもしれない

驚きの近況を聞ける(え、結婚したの?相手は?年収は?)、かもしれない

直樹に会える(100%)

また、楽器を弾きたくなる、かもしれない。

 

 

もし、その日があまりにも暇で暇でしょうがなかったら、時間潰しがてらに、よかったら見に来て欲しい。曲紹介とかはまたこんどで。ではでは。ごきげんよう

 

おわり

 

 

 

え?通った?

 

黒砂公民館、昔、おとなしい先輩が、受付のおじさんにブチギレられていたことや、笹尾くんが、隣の公園に落ちていた段ボールをかじっていたことなど、これといって特にいい思い出がなく、正直あまり好きな場所ではないのだが、つべこべ言っても仕方がないので、身支度を済ませ、家を出る。

 

 

刺すような日差しが、降り注ぐ。籠のない自転車を漕ぎながら、あの頃とは少し違う街並みに思いを馳せる。ワケのわからないzozoの建物ができ、定食屋が潰れまくり、ピエロは更地になって、でもなぜか甘太郎は生き残り、歩道橋はいつのまにか消えていた。こうやって知らぬ間に、いろんなことを忘れていくのだろう。あそこの角のミニストップを右に曲がれば、あと少し。ひたいの汗をぬぐいながら、軋むペダルに力を込める。晴れ渡る文月の青い空が、まっすぐな一本道を照らしていた。

 

 

少し早めに着き、受付のお姉さんに、そこそこのデカイ声で挨拶をし、2階の講習室に向かう。この部屋は抜群に日当たりがいい。良い部分はそれだけだ。案の定まだ誰もおらず、椅子を並べながら一人待っていると、ポツリポツリと集まってくるワクマンの面々たち。誰もかれもが「暑い」「遠い」と無言の文句を顔に浮かばせながら、靴をスリッパに履き替えて部屋に入ってくる。ただ一人天然記念物のチバメグだけは爽やかな笑顔で土足入室。汗が引き、上がった息が整ったタイミングでゆるりと合奏を開始する。遠い日。Dmセブンスの憂いを帯びた鈍い響きが部屋の温度を少し下げる。

 

 

30分後くらいに、遅れて小松くんがやってくる。なに一つ悪びれる様子もなく、ただでさえ、ふてぶてしいベンチャー顔が、よりいっそふてぶてしく憎たらしく映る、「この成金が」と後ろから頭をドツき回したくなる。

*どつきまわす:意味 鞭や細い棒で強く叩くこと。多く、どつきまわしたろか! どつきまわすぞコラ!などのようにハッタリの脅し文句で用いられることが多い。

 

 

小松くんをどつきまわし、asianの合奏を始める。フィジカルがものをいうゴリパワ編曲、嫌いじゃない。と思っていると、休憩中に、ぱっちょが、星コンを弾き始める。どうやら次の定演のメイン曲で星コンを弾くらしい。トチ狂ったか。もはや細胞の奥まで染み込んだ因縁のメロディを聞くと、眠っていた俺の闘争本能に火がついた、、、などということは全くなく、普通にただただ懐かしく、それでいて、ちょっぴり苦い味がした。星コンに比べれば、asianなどまだ可愛いものである。あの時は、なんであんなにも一生懸命になれたのだろう。今思えば、不思議で仕方がない。定演終わりに、糞をしながらひとしれず流した涙は、忘れようとしても忘れられない。いやいや、めちゃくちゃ定演聞くのが楽しみになってきたな。というか俺が、振ろうか??

 

 

最後は星コン、ではなく星降りを練習。人数が少なかったが、前後半に分けて、叩きで通す。細かいところを言えばキリがないが、なんとか通る。途中で、関戸くんが2時間遅刻してやってくる。もしかしてこいつは、我々とは別の時間軸で生きているのか??言葉を失い、唖然としていると、なぜか15時にはっせーの目覚ましタイマーが鳴り、混沌はよりいっそ深くなっていく。15時に来ることもわからないし、15時に起きようとしていたこともわからない、吹き出す面々を傍らに、「本当にこの団体は大丈夫なのだろうか」と眉間に指を当てる筆者であった。

 

 

初演という難しさ、つまり正解やお手本がない中、少しずつ少しずつ曲が形になっていく。天才作曲家たちは、シャレた机でコーヒーでも飲みながら、popなメローを作っているのかもしれないが、自分の場合、何一つとして、バエル作業工程はなく、段ボールを蹴りながら、酒を流し込みながら、本を漁りながら、何も思い浮かばす「もういっそのこと俺を殺してくれ」とひたすらに苦行に身を投じるのが作曲である。はたから見ればただの変人、キ○ガイであろうが、苦痛の、その先にある「誰かが演奏してくれるかも」「誰かが喜んでくれるかも、楽しんでくれるかも」という、なんの科学的根拠もない、比喩的に言えば「光のようなもの」が見えているから、ブツブツとひとり文句を言いながら、なんだかんだいつも最後まで曲を書いてしまう。要するにあの光が本当の魔法なんだよなぁ〜〜????あん?黙れ小松。どつきまわすぞ!

 

 

私情ダダ漏れワケワカメの挿入句を挟み込み、場面は一気に帰り道へ。と、その前に、時間が少し余ったので、最後にみんなで、ブンブン数取りゲーム(昔流行っためちゃイケのやつ)をやり、少しだけ盛り上がる。コロちゃんがまた流行ってきているし、本番までそんなに時間もないしで、色々と不安は尽きないが、まぁ呑気にやっていこうと思う。帰り道、なんとなく余裕があって、空を見上げると、とても綺麗で、柄にもなく思わず写真を撮る。パシャり。

 

 

 

おわり。

 

 

 

 

 

 

出航

 

梅雨のじっとりとした雨を吹き飛ばすような、カラリとした晴天だった。なんだかんだここまでくるのに、随分と時間がかかってしまった。と、一息ついて、空を見上げると、薄い雲がふわふわと漂う、駅前の交差点、楽器を背負い直し、人混みの中を、ゆっくりとまた歩き始める。俺もしかして、今、ワクワクしてる? ひとりでに笑いながら、練習室のドアを開けると、そこにはあの時の人たちがいた。毎日毎日顔を合わせて、一緒に思い出をかき鳴らして、トレモロに夢を見た、無我夢中だった、あの時の僕たちが、そこにはいた。

 

 

こんにちは、初回合奏を終え、程よく酒を入れ、熱湯を浴び、凪いた風が最高に気持ちいい筆者です。我々、ワクワクマンドリンオーケストラは、正式に、ワクワクマンドリンオーケストラとして、活動を始めました。記念すべき、初回合奏を終え、色々と思うことがあり、筆をとってみたくなって次第でございます。

 

 

 

団体名、ダサいなと思ったそこのあなた! 正常な感受性をお持ちです。団員の皆さんは、幹部三人(特に僕とせきどくん)のトチ狂った審美眼を呪ってください。今日、練習会場の受付の際に、今村くんが「ワクワクさんですか?」と言われ大恥をかいたらしいが、そんなことは知ったことじゃない。僕だって、もう何度も、真面目な書類に、ワクマンと書いた。そしてそのたびに、本当にこれでいいのだろうか?と思った。だが、もうどうしようもない。千葉市が、我々をワクマンとして認識し、登録を行ったのである。人間なんて、所詮、恥の塊なのだから、堂々と恥を背負って生きていけ。オリジナルティシャツの製作販売を考えているので、お楽しみに!価格は、一着2万ぐらいでいいかな!色は、ピンクと茶色のストライプで!

 

 

 

 

まぁ、新興宗教みたいな名前なのだが、普通に、真面目に練習をおこなった。全体的に、思ったより、みんな弾けてなくて、自分たちの老いと、時の流れ、ブランクを笑いながら、終始、和気藹々と合奏は進んだ。特に、僕が作曲した星降りの魔法は、その中でも特に難しかったようで、もはや、チューニングを思わせるほどのバラバラぶり。中途半端に引けるので、みんなちゃんと音は出すんだけど、全く合わない。作曲した当の本人も、なんだこの曲!ゲロッピー!今村くんも「弾けない」と一言。越間くんは「今まで弾いた曲の中で一二を争うほど難しい」。長谷川しょうだいくんは、「ギターが壊れているから今度直しに行くよ」と爽やかな笑顔。はよ直せ。

 

 

 

 

合奏は、三曲演奏します。Asian dream song、遠い日、星降りの魔法。どれもこれも、こってりとしており、弾きごたえはかなりありそうでした。10分の選曲会議で決めたとは思えないほど、バランスも良さげ。アンサンブルステージもやる予定なんですが、現在、僕が出したyove letterチームしかなく困っている状況です。こうなったら、朝日を昇ってもらうしかない。。。。。カエル君やりたい。。。。

 

 

 

 

合奏後は、予定がある女性陣たちに、別れを告げ、トリキで男子会開催。正面がはっせー、隣が小松君という、うんこを踏んだのと同等の不運に、神様に悪態をつきながら、乾杯。酒が入ると、あんなにダサかった団体名が、意味ありげで格式高いドイツ語のようにカッコよく聞こえる、不思議。久闊の会話に花を咲かせ、解散。「音楽を弾きに来てるんじゃない、俺たちは食事をしに来ているだけなんだ」と誰かが言ったとか言ってないとか。。。それにしても、何回飲んでも、最後に飲むミックスジュースが一番うめぇ〜〜。。。

 

 

 

 

 

こうやって、忙しい中、わざわざ集まってくれた、団員たちには本当に感謝しかない。大した志も、目標もないのだが、この気持ちだけ、あれば、あとはどうにでもなるだろう。それ以外の皆さんも、演奏会、見に来ていただけると嬉しいです!!見に来てくれたら、発情した犬のように息を荒くしながら4足で走り回ります。9/24、千葉市美浜文化センターでお待ちしております。それではまた!!!ワクワク!!

 

 

 

 

 

ワクワクマンドリンオーケストラを宜しくお願い致します。

 

 

 

 

おわり。